九州建設アスベスト訴訟を支える会

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    企業5社に勝訴 建材企業は基金に参加を
    建設アスベスト九州2陣判決 原告4人の責任は否定

    建設アスベスト九州2陣訴訟は、2018年2月26日に提訴。追加提訴含め、被災者24人(原告総数62人)で6月27日に福岡地裁で判決をむかえました。結審まで23回の期日、国との和解期日2回があり、判決期日を含めて26回の法廷での闘いに取り組みました。福建労や熊建労・首都圏訴訟団などの他、幅広い支援団体が結集し、298人が判決を見守りました。

    福岡地裁は、被害者24人中、20人に対して、被告建材メーカーの責任を認め、5社(A&Aマテリアル・ニチアス・ノザワ・太平洋セメント・エムエムケイ)を断罪しました。「被告建材メーカーは、アスベストを含む建材を屋内の建設作業者が危険な粉塵にさらされることを予測できた。作業者に対して危険性の内容や回避手段について警告する義務があったが、それを行わなかった」という内容でした。

    一部責任認めず

    4人については建材メーカーの責任を否定しました。解体工については、長い年月がたてば危険性を警告していたとしても表示が消えてしまい、解体作業時には危険性を察知することができないという誤った判断でした。
    また、屋外作業に従事していた原告には、屋外であるため粉塵をどれくらい吸ったかが分からないため否定。
    さらに他の2人に対して被告建材メーカーの建材が被害者の作業現場に到達したかを立証されないとして棄却するものでした。
    このような一部間違った判断もだされましたが、被告建材メーカーが製造販売した建材により多くの被害者を出していることは事実で、被害者に対する責任からは逃れられるものではありません。
    とりわけ、A&Aマテリアル、ニチアス、ノザワの3社は、全国の訴訟においても敗訴企業の常連です。この3社はすべてのアスベスト建材メーカーに先駆けて、全面解決に向けた取り組みを始める必要があります。他の建材メーカーも同様です。
    現在は国の負担分のみで行われている給付金制度に建材メーカーも参加させなければなりません。被害者は、同じような苦しみを広げたくないとの思いで闘っています。
    判決集会では、全面解決にむけ引き続き全国の仲間と連帯し、運動を展開する決意を確認しました。
    敗訴となった4人を含め全員が、福岡高裁に、7月10日控訴しました。

    九州建設アスベスト訴訟 原告団・弁護団
    九州建設アスベスト2陣訴訟 福岡地裁判決についての声明はこちらから

    建設アスベスト訴訟 3陣5回期日

    2陣判決に向けてさらに意見書採択と署名を

    3月7日、昨年11月30日の第4回期日に続き、九州3陣訴訟の第5回目の裁判支援行動を取り組みました。組合から6団体84人、弁護団を含んで94人が参加しました。

    「建材に毒物が入っているなら、教えて欲しかった」と原告多田さんが陳述

    この日は、福建労北九州支部の多田文明さん(建築・大工)が意見陳述を行いました。多田さんは肺がんで左肺全部の摘出手術を受けており、呼吸が苦しい中で、自分の生きがいとしてきた大工仕事への思いを語り現場に入ってくる建材が、まさか毒物だとは思わず、それがわかっていたなら教えてほしかったと訴えました。
    報告集会では、引き続き署名や自治体議会での意見書採択、議員要請を取り組み、6月27日の2陣判決を迎えようと訴えられました。

    建設アスベスト九州3陣第4回訴訟ひらく

    肺がん発症から5カ月で命絶たれた夫

    11月30日、福岡地方裁判所で、建設アスベスト九州訴訟3陣第4回期日が実施され、熊建労の遺族原告の杉浦悦子さんが陳述をおこないました。

    今回は3陣の原告である熊建労組合員だった杉浦さんの妻悦子さんの陳述でした。
    現場は学校など大きな建物の壁天井のボード貼りが主で、毎日ホコリまみれで帰って来たそうです。長年アスベストを吸い込んでいたことでしょう。「苦しい、酸素ボンベが欲しい」と当時の夫の状況も報告。
    肺がんを発症して、わずか5ヵ月で夫は命を絶たれたと声を詰まらせ、アスベストの入った建材を売ったメーカーが憎くて仕方がないと涙ながらに訴えられました。また、同じような苦しみをする人を増やしたくないとの思いで裁判に臨んでいるとも。
    もういい加減に企業側は、しっかりと謝罪をして、裁判で時間をかけることはやめて救済基金への参加を決断するべきです。

    被告建材企業は謝罪を

    裁判勝利のための支援行動

    九州建設アスベスト訴訟勝利を目指すため、九州各県の支援要請キャラバンで11月10日は鹿児島行動を行いました。
    第2陣の訴訟は製造企業相手に10月5日に福岡地裁で結審があり、来年6月27日に判決が言い渡されることになっています。第1陣から支援していただいている鹿児島の労組や団体を訪問して、公正な判決を求める団体署名と個人署名の協力を訴えました。訪問した11の団体労組の全てで、激励を受け支援することを快く受け入れていただきました。
    11月11日は日本平和大会が鹿児島で開催されるにあたり、入り口で署名の協力を呼びかけ99筆の協力がありました。
    さらに署名を広め世論を高めて判決でさらに前進した内容を勝ち取るため、みなさんの協力もよろしくお願いします。

    鹿児島建設技術者組合に要請

    宮崎県にも支援要請

    20日には、九州支援要請キャラバンで、宮崎県に行きました。
    要請先は、宮崎医療生協(宮崎医療生活協同組合)、宮崎県労連(宮崎県労働組合総連合)、宮崎建産労(宮崎県建設産業労働組合)、共産党宮崎県委員会などに建設アスベスト訴訟の支援要請に行きました。

    宮崎医療生協へも支援の要請へ

    建設アスベスト九州2陣21回期日

    企業側の理不尽な質問に怒り

    5月25日、福岡地裁で建設アスベスト九州2陣訴訟第21回期日行動が取り組まれました。この日も福建労の94人をはじめ熊本、長崎からの支援者を含めて136人が駆け付け、裁判所の傍聴席をうめました。
    法廷では、夫や家族を亡くした4人の遺族原告が、被害の深刻さを証言しました。
    その後、被告である建材企業による原告への尋問が行われましたが、企業の弁護士は「病気は本当にアスベストだったのか?」「いつからタバコを吸っていたのか?」といった質問を連発。自らの責任を逃れるために、アスベスト被害そのものを無かった事にしようとする態度に、原告はもとより、傍聴している仲間も大変な怒りを覚えました。

    「企業は責任を認め謝罪と補償を」と意思統一

    全国初 ノザワと和解成立

    2021年5月17日、建設アスベスト訴訟初の最高裁判決で国や建材メーカーの賠償責任が確定しましたが、訴訟の一部については、「東京高裁に差さしもど戻す」判断が示されていました。
    「神奈川1陣訴訟」も東京高裁に差し戻されて審理が続き、昨年2022年11月22日に「結審」となりましたが、裁判長から「和解」が勧告されていました。これを受けて建材企業のうち「ノザワ」のみが和解協議に参加し、左官職種4人の原告と和解が成立しました。大阪2陣訴訟で「日本インシュレーション」(旧、大阪パッキング)が「自社の専属下請だったこと」を理由に原告と和解をしていましたが、こうした限定なく原告との和解が成立したのは初となり、全面解決に向けた展望を開く大きな前進となりました。

    ノザワとの和解成立
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