2023年02月13日(月)
全国初、県議会でのアスベスト意見書採択
県下全自治体で採択を勝ち取ろう
機関紙「福建労 新年号」に掲載のとおり、佐々木允福岡県議会議員の尽力、各会派の協力により、昨年12月20日の福岡県議会本会議において「建設アスベスト被害者について救済の拡充を国に求める」趣旨の意見書が全会一致で採択。都道府県議会では初の採択です。


国の給付金制度、期間や職種で線引き
国の「建設アスベスト被害者給付金」制度は、国のみの補償制度で、直接の責任がある建材企業は拠出しておらず、補償額も慰謝料の半額程度です。また、給付対象は期間や職種で線引きされ、私たちが求める「被害者を等しく救済」する制度になっていません。
給付金法に「附則」、補償のあり方を検討
この給付金法の最後に別項のとおり「附則」が記載されました。ここに言う「国以外のもの」というのは、アスベスト建材企業のことです。また、「補償のあり方」の文言は、救済対象拡充の課題を意味しています。意見書では、この附則に基づいて「建材企業による補償の措置」「被害者が等しく救済されるよう給付対象を拡大」と訴えています。
建材の除去・処分の費用は所有者負担
アスベストは、既存の建築物の解体等による粉じん飛散で、従事者や住民にも被害が広がる恐れがあります。こうした建材の除去費用等が所有者負担であることも問題です。現行、除去費用等への国の補助制度があり、自治体が制度を採用する仕組みですが、自治体の負担も求められることが障害になり、制度採用自治体はごく一部です。助成対象も限定され、制度が有効に働いていません。
補助制度拡充や自治体への財政支援も
意見書では、除去費用等への助成制度拡充、さらに、アスベストに関連して様々な責任を負う地方自治体への財政支援、さらに、アスベストによる健康被害や関連法規の周知徹底を求めています。今回採択された意見書は問題の全面的な解決を展望した画期的な内容です。
これを力にして、全自治体での採択を
福岡県議会での意見書採択を県下自治体の議員に広く知らせ、全自治体で、県議会意見書をベースにした採択を目指しましょう。
同時に建材企業を謝らせる九州3陣訴勝利に向けて組合員の力を結集しましょう。
【給付金法附則】
「国は、国以外の者による建設アスベスト被害者に対する損害賠償その他、被災した建設従事者に対する補償のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」
2022年08月09日(火)
建設アスベスト第2陣13回期日

ニチアスの弁護士「本当にアスベストが原因なのか調べたい」
建設アスベスト九州2陣訴訟の第13回期日行動が7月7日福岡地裁で取り組まれました。
一カ月前の6月7日は「真摯な謝罪」をしない建材企業の全国一斉提訴行動でしたが、この日は建材企業追及の機運が一層高まりました。門前集会では、意見陳述する大牟田支部所属の稲葉チズ子さんが紹介され、入廷する2陣原告10人と弁護団を拍手で送り出しました。
法 廷 |
遺族原告の稲葉さんが意見陳述
法廷では、稲葉さんが、石綿肺がんで亡くなった夫、稲葉政勝さん(左官)の人柄と闘病生活をふりかえって裁判官に語りかけました。稲葉政勝さんの生前の口癖は「仕事は自分の家をするつもりでやらないといけない」。チズ子さんは「アスベスト建材を作って日本中に流通させた建材メーカーにはきちんと責任を取ってほしい」と結びました。
報告集会 |

建材企業に対して社会的に責任追及を
法廷終了後に開かれた報告集会では、田中弁護団事務局長が企業提訴の意義を整理。被告として提訴した建材企業16社の社名をあげて「これらの企業に対して社会的に責任を追及していくことで和解させることが重要だ」と訴えました。
ニチアス「カルテの取り寄せ」を表明
この日の法廷で秋からの「原告本人尋問※」の日程調整が行われましたが、ニチアスの弁護士から「本当にアスベストが原因で亡くなったのか調べたいので、故人のカルテを取り寄せたいが、期間が短いと取り寄せられない」などと発言。このことが田中事務局長から報告されると、会場はニチアスに対する憤りの気持ちに包まれました。
行動提起 |
法廷の外でも奮闘を
矢野全国連絡会事務局から次のような行動を取り組む方針が訴えられました。
①中央省庁への交渉
②政治の力を使って企業の姿勢を変える
③企業の包囲行動
参加者全員が建材企業への怒りを共有して団結を固めました。
2022年06月29日(水)
建設アスベスト訴訟
6月7日全国一斉3陣提訴行動
アスベスト建材企業は国の補償基金に参加を

建材企業に対する全国一斉提訴行動
昨年5月17日の最高裁判決は、建設アスベスト被害者原告に対する国と建材企業の賠償責任を確定させました。
被害者原告は、賠償が確定した企業に対して面談による謝罪を求めましたが、いずれの企業もこれに応じていません。謝罪文を封筒に入れたものを弁護団の事務所にまとめて送りつけるのみで、謝罪の意思は伝わるものでなく、原告・弁護団は強いいきどおりを感じています。
全国10地裁に提訴原告総数は190人
こうした建材企業の姿勢を変えさせるため、6月7日全国10か所の地方裁判所に一斉集団提訴をおこないました。
提訴に踏みきった被害者数は137人、原告総数は190人で、居住地でみると25の都道府県に広がりました。提訴した原告の願いは、建材企業の真摯な謝罪と国の建設アスベスト被害者給付金制度に参加させることです。※10地裁~札幌・仙台・埼玉・東京・横浜・京都・大阪・岡山・高松・福岡
福岡地裁にも7人が提訴
建設アスベスト九州訴訟本部としても被害者数7人(福岡3人、熊本4人)、原告総数15人が福岡地裁に提訴しました。提訴前の門前集会では、山本弁護団長は、「反省しない企業を取り囲んで、責任を明らかにしていく」と3陣提訴の意義を述べました。さらに田中弁護団事務局長は「最高裁で責任が確定したら普通なら真摯に謝る。なぜ大企業である建材企業ができないのか?あわよくば、引き延ばして逃げたいと思っているのではないか。みんなで力を合わせて逃げ得を許さない運動を」と訴えました。
その後、1陣2陣原告から3陣の原告に「たすき」が引き継がれ、3陣原告3名が紹介され、原告団が提訴のため入廷しました。
2022年03月04日(金)
九州建設アスベスト1陣訴訟 企業責任について最高裁が判断
企業の賠償確定
2月10日、最高裁判所第二小法廷(菅野博之裁判長)は、九州建設アスベスト1陣訴訟について、当事者双方(一審被告企業4社(エーアンドエーマテリアル、ニチアス、ノザワ、ケイミュー)と一審原告らが申し立てた上告受理申立を不受理、前記企業4社の上告を棄却とする決定を行いました。
これにより、被告企業4社に対する一審原告らの勝訴が確定しました。

訴訟団の声明

原告の声
◆平元薫 1陣原告団長
10年よく頑張ったと思う。
最高裁の判断が出て一応、みんなで喜びたかったが、急なことで 来られない方も多かった。これを聞いて安堵もある。
体調が悪くて 2年くらい前までは年に1回くらい入院していた。こんなに生きられないと思っていたが今日のことが聞けて良かった。
◆中村吉子 遺族原告
主人は病気ひとつしない人だったが、アスベストには負けました。初孫を抱いて1ヶ月あまりで亡くなった。
企業に勝って嬉しいものの謝ってくれないのが悲しい。
◆柴田清子 遺族原告
10年前は右も左も判らなかった。亡くなった方も沢山いる。今日12時半頃(企業責任確定を)聞いてよく受け止められなかったが、思い浮かべると良かった。
東京、大阪に企業要請に行ったが門前払いだったことを改めて思い出す。企業側は、自分たちの仕事のことがわからない若い社員ばかりで、いつもこちら側とかみ合わないやり取りで終わってきた。
国との和解では、最高裁の裁判官から「長い間ご苦労さまでした」と言われた時は嬉しかった。今日、原告は3人しか来ていないがみんな集まってバンザイしたい。
◆九州建設アスベスト訴訟1陣弁護団 山本 一行 弁護団長
対国、対企業とも屋外工の責任は認められなかったが外装材メーカーのケイミューの賠償責任が確定したのは大きな前進。
2022年02月25日(金)
建設アスベスト訴訟 ニチアス包囲行動
賠償が確定したニチアスは被害者に面談して謝罪を
国の救済基金に拠出して賠償責任を果たせ
「建設アスベスト訴訟」は、国との間では和解による解決をみました。その一方で、国よりも先にアスベストの危険性を知り得る立場にあったアスベスト建材企業は、責任を認めないまま未だに被害者と裁判で争い続けています。1月25日と26日の両日、中心的な建材企業である「ニチアス」九州支社前などで、これまでにない大規模な宣伝行動をおこない謝罪と賠償を求めました。

福岡と北九州の事業所に、のべ296人が参加
両日とも、福岡市中央区の「九州支社」、北九州市八幡西区の「北九州営業所」に向けて昼休みの時間帯に行動。原告・弁護団・福建労各支部の役員など296人が参加しました。
原告先頭に九州支社要請
九州支社の宣伝前には1・2陣原告ら訴訟団12名が支社事務所を訪問。
「最高裁判決後、国は責任を認め首相が被害原告に直接謝罪した。アスベスト建材シェアトップのニチアスもこれ以上先延ばしせず早期解決をはかれ」と要請書を渡して訴えました。この取り組みは、建設アスベスト訴訟全国連絡会として全国各地で取り組まれました。
九州建設アスベスト訴訟 第1陣訴訟 原告団長
平元薫さん
国とは和解が成立しましたが、アスベストを使って私たちの命と健康を犠牲にしながら利益を上げ続けてきた建材企業は、和解を拒否しています。
これは「反省をしていない」と言っているのと同じです。国が救済制度までつくったのに、建材企業の姿勢には怒りを覚えます。世間も許さないと思います。謝って賠償をしないといけないのは明らかです。いたずらに時間を延ばし、その間に沢山の原告の仲間が亡くなっていくのをこれ以上見たくはありません。ニチアスに限らず、アスベスト建材企業には、一日でも早く和解に応じることを望みます。
九州建設アスベスト訴訟 第1陣訴訟 原告副団長
石原律子さん
裁判を闘って10年になります。
2021年10月13日、国に勝利しました。体が資本の建設労働者。アスベストで苦しみながら亡くなった原告が半数以上です。危険とわかっていながら(アスベストを)使わせ続けた建材メーカーにも責任があると判決が出ているのに、それを認めようとしません。国は責任を認め総理大臣が被害者を前にして直接謝罪しました。建材メーカーも1日も早く責任を認めて原告に謝罪してほしいです。