九州建設アスベスト訴訟を支える会

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    2陣・3陣訴訟の法廷で原告が被害を裁判官に訴え

    4月中に相次いで2陣訴訟、3陣訴訟の裁判が開かれました。2陣訴訟は「原告本人尋問」、3陣訴訟は原告と弁護士による意見陳述で、両日とも法廷いっぱいの傍聴者が見守るなかで「アスベスト被害の実態」を浮かび上がらせました。


    2陣訴訟は4回目となる本人尋問

    建設アスベスト2陣20回期日

    4月12日(水)は20回目となる2陣訴訟の裁判。福建労粕屋支部の原告2人、A子さんとBさん、中筑後支部のC子さん、熊建労のD子さんが法廷に立ち、被害を証言しました。この日は福建労から93人、全体で129人が参加しました。

    【右肺摘出で16時間の手術  Aさん】

    A子さんは、軽天工だった夫が平成28年2月に16時間に及ぶ手術に耐えて、夫婦共に「だんだん良くなる」と思っていました。しかし、入退院を繰り返すうち、平成30年1月7日に思いがけなく急逝。最期を看取ることができなかったことを悔やむ気持ちが語られました。建材企業に対しては、「本当に私たちの残念な思いわかってほしい」と迫りました。

    【部屋の中でも酸素ボンベを持って移動  Bさん】

    Bさんは、父(左官)が、部屋の中でも酸素ボンベにつながれ「息ができないことへの恐怖心」と闘っていた姿を思い起し、「裁判を続けることで、苦しんでいた父親を思い出すのはつらい。早く解決してほしい」と訴えました。

    【若者たちに同じ思いをしてほしくない  C子さん】

    C子さんは「夫の最期は、人間がこんなに痩せられるのかと思うほどだった」。亡くなる前日には、子ども3人を前に「今までありがとう」と声を振り絞っていたことを語りました。最後に「夫がああいう形で最期を迎えたことは納得できません。きちんと責任をとってほしいと思います。建設で働く若者たちに同じ思いをしてほしくありません」と裁判官に訴えました。

    3陣訴訟は2回目の裁判、E子さんが切々と陳述

    建設アスベスト3陣2回期日

    昨年11月8日(火)に1回目の裁判、この日は、それに続く2回目の裁判。遺族原告と原告側弁護士の意見陳述がおこなわれ、福建労から85人、全体で110人が参加しました。

    体調崩して3カ月のうちに

    福建労筑紫支部のE子さんは、夫でのE男さん(溶接工)を令和2年7月に胸膜中皮腫で亡くしました。E男さんは、その3カ月前の4月から急激に体重が減り、食欲が無くなりました。そのうちに全く歩けなくなり緊急入院。原因を確かめるために胸を開いて生体検査(肺の一部を切り取って検査)をおこなう手術を受けました。当初は「ガンではない」と告知され、みんなで喜んだのもつかの間、数日後に出された正式な検査結果は「ステージ4の悪性胸膜中皮腫」。

    孫を呼び出し「おばあちゃんを頼む」

    告知をするかどうか家族で話し合いましたが、結局、告知はできないままでしたが、E男さんは、19歳になる孫を一人呼び出して「おばあちゃんを頼む」と言い残していました。まもなく、痛みの強まりでモルヒネの投与をせざるを得なくなり、7月30日午後、家族に看取られて亡くなりました。
    E子さんは、今、娘さん二人に加えてお孫さんも一緒に暮らしています。「家族みんなが支えてくれています。それでも夫を亡くして穴があいた心が埋まることはありません。夫をかえしてほしい、それが私の願いです」と陳述を結びました。


    全ての被害者の充分な救済を目指して、国会請願署名の取り組みを大きく

    国の責任が最高裁で認められ、国は被害者に謝罪して、今後の被害者も含めた救済制度も創設しました。しかし、この制度にそもそもの原因を作った建材企業は参加しておらず、引き続き被害者と訴訟で争うという異常な状態が続いています。
    また、国の制度そのものも、働いた期間などで線引きされたうえ「屋外工」は救済の対象外になっています。

    組合では「すべての被害者の等しい救済」を求めて制度改正の「国会請願署名」に取り組んでいます。現在、組合内で5万5千筆を集めていますが、最初の九州1陣訴訟での福岡地裁宛の公正判決要請署名の時には10万筆を超える署名を集めました。
    当面、この10万筆をめざして仲間の皆さんの力を合わせてもらうよう心から訴えるものです。

    建設アスベスト九州訴訟2陣 第18回期日

    建材企業は謝罪し問題解決を

    2月17日、福岡地裁にて建設アスベスト九州2陣訴訟・第18回期日が開かれ、延べ133人の参加でした。
    建材企業は謝罪をしてほしい。原告たちの涙ながらの訴えが法廷内に響き渡ります。建設アスベスト訴訟は国との争いについては和解をしましたが、各社建材企業については、いまだに法廷で争う姿勢を崩していません。裁判に頼らずに、アスベスト被害者を全面救済するため、企業も参加した被害者給付金制度の確立が課題となっています。

    遺族が無念の思いを法廷で陳述

    2陣地裁第18回期日では、遺族原告本人への尋問が行われ、3人が尋問に臨みました。福建労からは大牟田支部の丸山原告、福岡東支部の信國原告が尋問に参加。丸山原告からは、「夫はアスベストの危険性を知らないまま仕事をしていました。生きたくても生きることができなかった。建材企業は謝罪してほしい。楽しい未来を返してほしい」と思いを述べ、信國原告からは、「アスベストがなければ本人や家族を含めこんなに苦しい思いをすることはなかった。夫は志半ばで亡くなってしまって、無念だったと思う。もうこんな思いをする人を出してほしくないし、企業は早期に謝罪をして、この問題を解決してもらいたい」と切実に訴えました。
    アスベストは、被害者本人だけでなく、その家族も含め、大変な被害やつらい思いをさせるものです。一刻も早く解決しなければなりません。各建材企業は、被害者に真摯に向き合い、全面救済に向け、国の補償基金制度に参加せよ。福建労はアスベスト問題が根絶するまで闘っていきます。

    建設アスベスト九州訴訟2陣17回期日

    原告の訴えにも関わらず、建材企業の責任逃れの発言に怒り

    1月31日に九州建設アスベスト2陣第17回期日が行われました。
    この日は、未だに謝罪の姿勢を見せない建材メーカーの尋問に対して、4人の遺族原告が証言しました。午後から証言をした居川さんの娘の千夏さんは、亡くなったお父さんの無念を晴らすために、建材企業に対して、時折、言葉を詰まらせ、涙で声を震わせながら一生懸命、尋問の受け答えをしていました。次に証言をした石橋さんの息子さんの広紀さんは、一緒に現場に出ていたこともあり、建材企業からの尋問が集中しました。

    建材メーカーは、遺族原告に対して、「個人住宅がほとんどだったのですよね?」など自社の石綿製品の関りが低いように印象づける尋問を続けました。原告は、誘導しようとする尋問には、曖昧な証言をせず「記憶にない」ときっぱり応えていました。危険と知りつつ、表示も曖昧に販売し儲けをあげてきた責任は、すべての製造企業にあり、国の補償制度に参加すべきです。今回の尋問は、「うちの粉(石綿)ではないでしょ」と責任の擦り合いを被害者(原告)の前でするという極めて異常な状況でした。

    【今後の予定】

    九州訴訟 2陣

    2月17日建設アスベスト九州訴訟2陣 第18回期日10時入廷、10時30分開廷
    3月3日建設アスベスト九州訴訟2陣 第19回期日10時入廷、10時30分開廷
    4月12日建設アスベスト九州訴訟2陣 第20回期日10時入廷、10時30分開廷
    5月25日建設アスベスト九州訴訟2陣第21回期日10時入廷、10時30分開廷
    6月30日建設アスベスト九州訴訟2陣 第22回期日10時入廷、10時30分開廷

    九州訴訟 3陣

    4月25日建設アスベスト九州訴訟3陣 第2回期日10時30分入廷、11時開廷
    8月3日建設アスベスト九州訴訟3陣 第3回期日10時30分入廷、11時開廷
    ※いずれも門前集会は、入廷15分前に行う予定です。

    全国初、県議会でのアスベスト意見書採択

    県下全自治体で採択を勝ち取ろう

    機関紙「福建労  新年号」に掲載のとおり、佐々木允福岡県議会議員の尽力、各会派の協力により、昨年12月20日の福岡県議会本会議において「建設アスベスト被害者について救済の拡充を国に求める」趣旨の意見書が全会一致で採択。都道府県議会では初の採択です。

    全国初、県議会でのアスベスト意見書採択
    県議会で建設アスベスト意見書採択(右から2番目が佐々木允県議)
    建設アスベスト被害者の救済とアスベスト対策を求める意見書
    建設アスベスト被害者の救済とアスベスト対策を求める意見書

    国の給付金制度、期間や職種で線引き

    国の「建設アスベスト被害者給付金」制度は、国のみの補償制度で、直接の責任がある建材企業は拠出しておらず、補償額も慰謝料の半額程度です。また、給付対象は期間や職種で線引きされ、私たちが求める「被害者を等しく救済」する制度になっていません。

    給付金法に「附則」、補償のあり方を検討

    この給付金法の最後に別項のとおり「附則」が記載されました。ここに言う「国以外のもの」というのは、アスベスト建材企業のことです。また、「補償のあり方」の文言は、救済対象拡充の課題を意味しています。意見書では、この附則に基づいて「建材企業による補償の措置」「被害者が等しく救済されるよう給付対象を拡大」と訴えています。

    建材の除去・処分の費用は所有者負担

    アスベストは、既存の建築物の解体等による粉じん飛散で、従事者や住民にも被害が広がる恐れがあります。こうした建材の除去費用等が所有者負担であることも問題です。現行、除去費用等への国の補助制度があり、自治体が制度を採用する仕組みですが、自治体の負担も求められることが障害になり、制度採用自治体はごく一部です。助成対象も限定され、制度が有効に働いていません。

    補助制度拡充や自治体への財政支援も

    意見書では、除去費用等への助成制度拡充、さらに、アスベストに関連して様々な責任を負う地方自治体への財政支援、さらに、アスベストによる健康被害や関連法規の周知徹底を求めています。今回採択された意見書は問題の全面的な解決を展望した画期的な内容です。

    これを力にして、全自治体での採択を

    福岡県議会での意見書採択を県下自治体の議員に広く知らせ、全自治体で、県議会意見書をベースにした採択を目指しましょう。
    同時に建材企業を謝らせる九州3陣訴勝利に向けて組合員の力を結集しましょう。

    【給付金法附則】
    「国は、国以外の者による建設アスベスト被害者に対する損害賠償その他、被災した建設従事者に対する補償のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」

    建設アスベスト第2陣13回期日

    ニチアスの弁護士「本当にアスベストが原因なのか調べたい」

    建設アスベスト九州2陣訴訟の第13回期日行動が7月7日福岡地裁で取り組まれました。
    一カ月前の6月7日は「真摯な謝罪」をしない建材企業の全国一斉提訴行動でしたが、この日は建材企業追及の機運が一層高まりました。門前集会では、意見陳述する大牟田支部所属の稲葉チズ子さんが紹介され、入廷する2陣原告10人と弁護団を拍手で送り出しました。

    法 廷

    遺族原告の稲葉さんが意見陳述
    法廷では、稲葉さんが、石綿肺がんで亡くなった夫、稲葉政勝さん(左官)の人柄と闘病生活をふりかえって裁判官に語りかけました。稲葉政勝さんの生前の口癖は「仕事は自分の家をするつもりでやらないといけない」。チズ子さんは「アスベスト建材を作って日本中に流通させた建材メーカーにはきちんと責任を取ってほしい」と結びました。

    報告集会

    建材企業に対して社会的に責任追及を
    法廷終了後に開かれた報告集会では、田中弁護団事務局長が企業提訴の意義を整理。被告として提訴した建材企業16社の社名をあげて「これらの企業に対して社会的に責任を追及していくことで和解させることが重要だ」と訴えました。

    ニチアス「カルテの取り寄せ」を表明
    この日の法廷で秋からの「原告本人尋問※」の日程調整が行われましたが、ニチアスの弁護士から「本当にアスベストが原因で亡くなったのか調べたいので、故人のカルテを取り寄せたいが、期間が短いと取り寄せられない」などと発言。このことが田中事務局長から報告されると、会場はニチアスに対する憤りの気持ちに包まれました。

    行動提起

    法廷の外でも奮闘を
    矢野全国連絡会事務局から次のような行動を取り組む方針が訴えられました。

     ①中央省庁への交渉
     ②政治の力を使って企業の姿勢を変える
     ③企業の包囲行動

    参加者全員が建材企業への怒りを共有して団結を固めました。

    • 【支える会事務局】

      福岡県建設労働組合 県本部

      〒815-0031
      福岡市南区清水1丁目22-9

      TEL 092-511-4703
      FAX 092-511-4752

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