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2019年11月12日(火)
地裁判決覆し、高裁全面勝訴
企業責任、一人親方への賠償認める判決

九州建設アスベスト1陣訴訟の高裁判決(山之内紀行裁判長)が11月11日に言い渡されました。
2014年11月7日の地裁判決では、国を断罪したものの企業責任・一人親方への賠償を認めませんでしたが、今回の判決はそれを覆しどちらも認めました。
国の責任を9年間広げる
国への責任について、地裁判決では国が75年(昭和50年)~95年(平成7年)まで防じんマスク着用や警告表示を義務付けなかったとし断罪しましたが、今回の高裁判決では、さらにそれでは不十分で労働者に特別教育を合わせて義務付けるべきだったとして04年(平成16年)までその責任期間を広げました。救済期間を拡大した点で高く評価できる判決です。
一人親方の賠償責任も認定
判決は、国が「防じんマスク着用等を労働安全衛生法によって義務付ける事」が遅れた点に責任があるとしていました。しかしこの法律は「労働者」を保護対象とするものであるとして一人親方等(事業主)に対する国の責任を認めませんでした。しかし、今回の高裁判決は、ほぼ18年3月の東京高裁判決、8月の大阪高裁(京都ルート)、9月の大阪高裁(大阪ルート)と同様の判断で国の責任を認め高裁で4連勝となりました。
企業責任も断罪
さらに、1審判決では認められなかった石綿関連疾患発症の企業責任について、その主たる原因となった建材を製造・販売したシェア20%の被告企業4社(A&Aマテリアル、ケイミュー、ニチアス、ノザワ)の共同不法行為責任を認めました。
国に11連勝
これで、建設アスベスト訴訟では国に11連勝です。もはや国に規制放置の責任があることは疑いなく、これまでの高裁判決に本判決が加わったことにより、国の賠償責任に「一人親方」が含まれることや建材メーカーも損害賠償を免れないことは確実となりました。

国と企業は基金創設を
建設アスベスト訴訟の解決をこれ以上引き延ばすことは許されず、国と建材メーカーは直ちに全面解決を決断し、すべての建設アスベスト被害者の救済のために「建設作業従事者にかかる石綿被害者補償基金制度」の創設に着手すべきです。